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ケースコンペティション体験談 前編(Class of 2020)

はじめに

日本ではあまり馴染みのないものですが、ケースコンペティション(以下、ケースコンペ)とは大学や企業によって運営され、各チームのアイディア・資料・プレゼンテーション能力などを競うイベントです。テーマはファイナンス、ヘルスケア、ソーシャルビジネス、スタートアップなど様々です。また選考方法もケースコンペ毎に違うため、毎回どのように選考が進むかを確認する必要があります。MBA留学中には無数のケースコンペに参加できる機会があります。

私の場合、運よく一年間で6つのケースコンペに参加する機会がありました。今回はその中で一番印象に残ったケースコンペであるHarvard Business Case Competitionについてお伝えしたいと思います。

 

ケースコンペ参加まで

発端はTerm1にRSMのPEケースコンペティションに参加したことです。同じクラスのアメリカ人G君に誘われて参加した初めてのケースコンペでした。結果は校内選考で惨敗という結果でしたが、そこでほとんど話したことのなかったG君と仲良くなり、一緒に別のケースコンペでリベンジしようという話になりました。その後、色々調べた結果、Harvard大学主催のファイナンス&ストラテジーのケースコンペがあることを知り、G君とメンバー集めを始めました。最終的なメンバーは以下の通りです。

  1. アメリカ人G君:金融出身。MBASA(生徒会)メンバーでクラスのムードメーカー。アメリカ人にしては少しシャイな一面も。
  2. ドイツ人T君:コンサル出身。Term1は一回しか話したことがありませんでしたが、授業で鋭い発言をよくしていた彼と私が一緒に参加したかったのでアメリカ人のG君経由で声をかけてもらいました。
  3. エジプト人S君:金融出身。Term1のチームメイト。G君が優秀な彼(GMATを全く勉強せず一回で720取得)と参加したいとのことで誘うこととなりました。
  4. インド人Aさん:会計士(CFA)。クラスが違ったため、あまり接点はありませんでしたが、優秀だという話が聞こえてきたので誘うことになりました。

今回のケースコンペはMBA学生だけでなく学部生、ファイナンスなどの他分野の院生も応募できるため、毎年120チーム以上が応募しているようです。決勝に残れるのはわずか10チームと他のケースコンペと比べても高い倍率です。

ケースコンペによっては申し込む段階でテーマがわかっているものもありますが、このケースコンペでは2月上旬に発表ということで申し込み(12月)からテーマの発表まで1~2ヵ月ほど時間がありました。

 

ファーストラウンド

予定通り2月上旬に2019年度のテーマについて連絡がありました。2019年度は「GMはTeslaを買収すべきかどうか。もし買収しない方がいいということであれば代替案を提示しなさい」というものでした。提出期日まで3週間ほどありました。

まず前回の優勝チームがESADE(MSc in Finance)ということを知り、スカイプミーティングで優勝メンバーの一人から情報収集をしました。その時に優勝チームの提出資料をさらっと見せてもらいましたが、80ページほどあり、驚愕しました(通常のケースコンぺは10~15スライド程度ですが、このケースコンペはスライドの枚数制限なし)。彼から「ファイナンスのケースコンペだけど、我々はコンサル出身者が多かったのでコンサルよりの資料を作成したのが勝因の1つ」という情報を聞き、我々もその方向で攻めることにしました。ちなみに優勝メンバーには元または現役のBCGやマッキンゼーのコンサルタントがいました。

数日間各人でリサーチをしてGMがTeslaを買収すべきかどうかを最初のチームミーティングで決めました。株価が高いということとGMとのシナジーがあまり見込めないということで買収しない方向で進めることになりました。

ファーストドラフトの段階で既にスライドは70枚。米国人G君はGM、エジプト人S君はTesla、ドイツ人T君は業界分析を担当することになりました。私はインド人Aさんとバリュエーションを担当しました。バリュエーションは全く専門ではありませんでしたが、Market・DCF・Multiple(類似業種、トランズアクション)・Brandバリュエーションをインド人と形にしていきました。

締切時間はバルセロナ時間の朝6時だったため、最後は5人で前日の午前10時から翌朝6時まで20時間G君の家で作業して何とか期限2分前に107枚(Appendix含む)のスライドを提出しました。

約2週間後のファイナリスト発表の日。何と主催者側から「今回応募数が多いため、ファイナリストの発表を2日延期したい」との連絡がありました。「結構誤字脱字があるから細かく資料を見られると厳しいな」と思いながらその日を待っていると2日後にG君から「Yes!!!!!」という文字と共にメールが転送されてきました。そこにはファイナルに進める10チームが記載されていて、その中に我々のチーム名が記載されていました。ファイナルに残ったチームはMBAが3-4チーム、その他のマスター(Master in Financeなど )が3-4チーム、学部生も3-4チームという構成です。チーム一丸となって掴んだ切符ということもあり、久しぶりに興奮してその日の夜はあまり眠れませんでした。逆に打ち上げでは飲みすぎてすぐに泥酔してしまいましたが、いまでは良い思い出です。

 

後編へ続きます!

 

 S. S. (Class of 2020 #13 男性 30歳 私費 単身