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Exchange Programme体験談(Class of 2014)

ESADEには2年生のTerm4またはTerm5で、海外のMBAコースを受講する交換留学の制度があります。MBA、特に2年生の選択科目では、学校によって特色・強みが異なりますので、交換留学を通じて多様な経験を積むことができます。ESADEは40校近くの交換留学先が用意されており、欧州(HEC, Manchester)・北米(Kellogg, NYU, UCLA)・中南米(INCAE)・アジア(一橋, HKUST, NUS, ISB)・アフリカ(Cape Town)等の選択肢があります。

 

交換留学にはメリット・デメリットの両方があります。まず、メリットとして挙げられるのは、ESADEとは異なる教授陣の講義や、学生達との交流を通じて、学問的・文化的な理解を深める機会になることです。また、二つのMBAに通うことで、人的ネットワークを大きく広げることができます。MBAコースの外のコミュニティ・生活からも得るものは多くあります。

 

一方で、デメリットとしては、私費学生の場合、キャリアサービスの支援があまり受けられないことです。原則として交換留学先の学校から就職活動の支援はないため、個人で活動を進めるしかありません。また、費用負担も考慮する必要があり、転居・ビザ取得・現地の保険加入・教科書の購入等で、想定外の出費もありえます。3-4ヶ月程度の家の賃貸は一般的でないため、転居先を見つけるのに手間がかかります。社費学生の場合、会社の規定で交換留学が困難な場合もあるようです。

 

交換留学は成績上位者にのみ応募する権利が与えられます。Pre-term、Term1で上位30%の成績、かつ全ての教科をパスしていることが条件です。権利を得た学生は、希望する学校・学期(秋または冬)を10個まで優先順位をつけて指定できます。学校を選択する際には、これまでにESADEから交換留学した学生の経験談レポートを参考にすることができます。最後に、優先順位に応じて学生が選抜され、希望者が重なった場合、くじ引きが行われます。(※成績上位者以外も、一定の条件を満たせば、残りの学校の中から選択することができます)

 

ここでは、Babson Collegeへ交換留学した経験について述べさせていただきます。Babson Collegeはアメリカ・ボストン郊外にある大学で、Entrepreneurshipに強みをもったMBAコースを提供しています。Entrepreneurship教育においては21年連続で一位に輝いています。個人的にEntrepreneurshipに興味があったため、Babson Collegeに希望を出しました。また、ボストン地域はSilicon Valleyに次ぐ起業の盛んな地域(Harvard, MITの影響)といわれているため、校外での学びも期待していました。

 

実際に授業を受けて強く感じたことは、教授陣のレベルの高さです。要点にまっすぐ向かった議論が行われ、Excitingな授業を多く受けることができました。Harvardでも教鞭をとった教授や、Startupを何社も立ち上げて売却まで行った教授などから、世界最高レベルの教育を受けることができました。

 

ESADEとBabsonでは似ている点・異なる点の双方を感じました。まず、Entrepreneurshipにはどちらの学校も注力していますが、ESADEは社会起業にも特色があるのに対し、Babsonは技術に強いように見受けられました。次に、授業の進め方ですが、どちらも50人程度の教室で行われるため、議論に参加しやすい雰囲気があります。ただし、Babsonでは授業での発言に重きがおかれるのに対し、ESADEでは授業・グループワーク・レポート・テストと総合的に学びの機会を捉えているように思います。個人的には、英語力に劣る日本人の場合、授業を中心に評価されるのは非常に困難に感じました。

 

交換留学は、ESADEのDiversityについてより強く意識する機会にもなりました。Babsonはアメリカ人学生が全体の6割程度で、アメリカのMBAの中では国際性が高いと言われています。しかし、実際に学生と触れ合うと、残りの4割の学生も、アメリカで育ち、アメリカの大学を出ている学生が多いため、6割以上にアメリカ的な雰囲気で満たされています。50カ国から来た学生たちと共に過ごすESADEとは雰囲気が異なるものでした。また、学生の社会経験についても、ESADEのDiversityを意識させられました。BabsonはEntrepreneurshipに注力しているため、Family Business出身の学生が多く、また、勤務経験が少ない学生もいました。一方で、ESADEではコンサルティング・製薬・NPOなど多様な業界で社会経験を積んだ学生と意見交換できるため、学生同士での学びが多く得られていたことを実感しました。

 

MBAは多面的に人間を成長させてくれますが、交換留学はさらに多くの次元に広がっていく機会になります。しかし、交換留学に関する意思決定は簡単ではありません。交換留学に行くかどうか、行くならどの地域・学校に行くか、というのは様々な観点で検討する必要があると思います。

 

(2012年入学:Class of 2014)